ボブおじさん

トレーニング デイのボブおじさんのレビュー・感想・評価

トレーニング デイ(2001年製作の映画)
4.0
「Training Day」翻訳するまでもなく〝訓練日〟のことだが、これでは味気ないと思い敢えてサブタイトルを考えたら〝悪徳捜査官1日入門体験記〟となり、何やらB級ドタバタコメディのようになってしまった😅

実力派俳優デンゼル・ワシントンがイーサン・ホーク演じる新人の相棒を恐れさせる悪徳刑事に扮し、圧巻というべき熱演を披露。アカデミー賞で悲願の主演男優賞に輝いた、息詰まる刑事サスペンス。

憧れのベテラン刑事と組み、麻薬捜査の最前線に飛び込むことになった新人警官。彼は、自分の裁量一つで法を勝手にねじ曲げ、強引な捜査を推し進める先輩を目の当たりにし、善悪の葛藤に苦悩していく。

新人とベテランあるいは性格や出自の全く異なる2人がコンビを組むのは洋の東西を問わず警察ドラマの定番中の定番。「ルーキー」「リーサル・ウェポン」「セブン」「ダーティハリー3」邦画では「野良犬」「砂の器」など枚挙に暇がない。

この一見ありがちな設定の中で光るのがデイゼル・ワシントン演じる悪徳刑事アロンゾの圧倒的な存在感とカリスマ性だ。ロサンゼルスの危険地帯の中枢部に入り込み、ドラッグの売人や元締めと灰色の接近戦を演じる違法捜査は新人刑事だけでなく見ているこちらも気圧される。

華々しい活躍で知られるアロンゾは〝これから先、従順な子羊で過ごすか、それとも獰猛な狼として名をあげるかはお前の態度一つだ〟と言い、何とジェイクに麻薬を試すよう勧める。

〝ミイラになってミイラを取りに行く〟ということだろう。だがジェイクは、暴行、脅迫、証拠の捏造など、アロンゾの強引な捜査方法を目の当たりにするうち、アロンゾに対する不信と反発心を募らせていく。

似たような設定の映画は他にもあるが、〝ヒリヒリするような危険な街〟で繰り広げられる新旧2人の刑事の演技合戦が最大の見せ場。特に普段善人を演じることが多いワシントンは、この汚れ役が楽しくてしょうがないかのように実に生き生きと演じアカデミー賞も納得である😊


公開時に劇場で鑑賞した映画を動画配信にて再視聴。


〈余談ですが〉
過去の警察映画を思い起こしてみて、この映画のコンビに一番近い組み合わせと思ったのが「狐狼の血」の役所広司演じる悪徳刑事と正義感あふれる松坂桃李の新人刑事。

2人のキャラクターやストーリーにも親和性があり、役者たちの熱演ぶりも甲乙つけ難い。改めて両作品を見比べるのも面白いかも😊