りっく

BUG/バグのりっくのレビュー・感想・評価

BUG/バグ(2007年製作の映画)
4.0
フリードキン作品は狂気が宿りエクストリームな展開が待ち受けるが、本作もまた然り。爬虫類顔のマイケルシャノンが昆虫に寄生されたのではと自傷行為に走る様と、その横で私がインセクトクイーンであり、あらゆる生き物のマザーだと全裸で絶叫するアシュレイジャドの体当たり演技が、あらゆる壁にアルミホイルが貼られ青光りする密室で繰り広げられる異様な作品。

ただし、本作における昆虫は、何も統合失調症の誇大妄想で片付けられない。孤独で頼るものがない現代人の心に巣喰う病理であり、どんどん自分の頭だけで都合のいいようにパズルのピースを当てはめ、陰謀説だの、都市伝説だの、そんなデマゴーグを密室内ではなく、SNSで拡散する。そっちの方が、最期には自ら火を放って一応のけじめをつけた本作の二人よりも、よっぽどたちが悪い。
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