大傑作。
情景描写が上手い。会話の間に挟まれる静物や鳥にもきちんと意味がある。雨の降らせ方というか、使い方も上手い。不穏なプロポーズと夫婦の崩壊の第一歩として雨を使うのとか。
そして登場人物たちの言葉が俗っぽいのとか、結婚式での食い方が汚いのがいい。こんなに自然主義的な作品、なかなかない。
終盤からいきなり西部劇になってデスヴァレーに向かうところ、やばすぎる。雨と曇天の路地の前半から乾いた日差しの砂漠の終盤の対比。地平線のなかにポツンと存在する二人は、『アラビアのロレンス』みたいだと思った。人間の欲望の卑小さが表れている気がする。