なすび

ブロークバック・マウンテンのなすびのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

好き嫌いのためというより名作として心に残る映画だった。かなりたくさんの要素があるのにどれもが軽くならずに印象深いエピソードとして機能するのはさすがのアンリー様…この映画すごく有名だし自分が好きそうな題材なのになぜか見てなかったけど改めてアンリーのすごさを知った。
そして俳優が軒並つぶ揃いすぎるよ…。主演二人だけでなく奥さん役二人、娘や恋人まで存在感がある演技をする人たちばかり。私はこのせいでむしろ映画が自分のものと思えなくなった、演技に集中しすぎて物語の方が見えなくなる(?)特にやっぱりミシェルウィリアムズ。この人いつも離婚する奥さんの役だね😅不憫な女が似合う。というか彼女が映ると画面の雰囲気がガラリと変わる、まったく違う映画みたいに急に彼女が主人公みたいに見えてくる不思議。なんだろうね…すごい自分の世界観がある人なのではと思いました。こりゃケリーライカートがよく主人公にしてるのも頷ける。あと娘役のケイトマーラも良かった、娘役なのにやけに色気がある、繊細な演技。ヒースレジャーは逆に苦手だ…この人をうまく掴めない。ジェームスディーンのように見える時もあるのに、でも完全な個性がないと思う。演技そのものは上手いのに印象に残らない顔体つきだ。

まさに人生…でしたね…。イニスもジャックもそれぞれちがう人間で、いくら惹かれあっても生い立ちも今の環境も考え方も独自のものがある。でもきっぱり別れられるかといったらそれもできなくて、だからこそ辛いと…。彼らがブロークバックマウンテン以外の場所で普通に恋愛して二人暮らしていけたとしても衝突は早く起きて別れていた可能性の方が高いんじゃないかと思う。むしろ楽園のような息抜きのような関係だったからこそ長続きした一面もありそうなところが人生の皮肉。人間たちは完璧じゃないから完璧な関係もありえない、でも唯一どちらかが亡くなったときもう一人の思い出の中でその関係は完璧なものとなるのかもしれない。
(でもイニスとジャックの関係は恋愛関係とも言い切れない気がしていて、もちろん体の関係はあったけど、なんか男同士の友情の延長というか、心のパートナーというか、同じ夢を共有したソウルメイトみたいな、ただの恋愛感情で結びついたものではないんじゃないかなぁと思っている)

見る前ずっと美しいLGBTQ映画だというイメージを抱いていたから、前半のシーンに疑問が多かったけど結果全然ちがう話だった。むしろこれLGBTQと呼べるのか??


町山さんの解説の「結局、エクスペンダブルズですね」は笑った😂
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