カウボーイ同士の恋愛がセンセーションを巻き起こしたゲイ映画の金字塔(と評されるけれど、、)。
住み込みの季節労働者としてブロークバック・マウンテンを訪れたイニスとジャックは次第に惹かれ合い一線を越える。契約満了とともに別れを告げた彼らは心機一転、互いに家庭を築いていくが-。理想と現実、内心と体裁の狭間で揺れ動く20年間の軌跡を雄大な自然の中でドラマチックに映し出す。
冒頭で()をつけたのは批判じゃないんだけど、これをゲイ映画として観ると肩透かしを食らうかもしれない。その辺の表現が割とあっさりしてるから2人がゲイであるという要素はあくまで副次的なものに近くて。
当時アメリカで反発を招いた最大の理由はゲイである人物がカウボーイだったからみたい。筋骨隆々とした肉体で馬を乗りこなし獲物を狩る、男の中の男がまさか!的な。テーマが"男性らしさ"だとすれば2人が妻子を持ち夫や父としての顔が描かれるのもある程度納得がいくけどどうだろう。
ヒース・レジャーの存在感もさることながら、妻役ミシェル・ウィリアムズの名演が心を掴んで離さない。友情の裏でおざなりの愛情。秘密を抱えた人間の苦悩と安らぎを与える希望の山。