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ロード・トゥ・パーディションのmiumiuのレビュー・感想・評価

4.2
1931年、アル・カポネが牛耳りマフィアたちが暗躍するアメリカの裏社会を舞台に、復讐劇と親子の姿を描くストーリー。
原作小説あり、題は「子連れ狼」にインスピレーションを受けているらしい。
アカデミー賞撮影賞受賞作品らしく、随所でカメラワークが光る。音楽も良かったな。

そしてサム・メンデス監督作品って本当キャスティングが豪華…!
トム・ハンクスがマフィアの雇われ殺し屋役で主演。
その息子役の子役は、現在DCのTVシリーズ『スーパーガール』でスーパーマン役を務めるタイラー・ホークリン。子役時代は丸顔が可愛い。彼も実質主役の1人。
マフィアのボスは老いてもダンディで格好良いポール・ニューマン。そのバカ息子役が007就任前、アクション映画にまだほとんど出ていなかった頃のダニエル・クレイグ。
悪役の殺し屋役でジュード・ロウも出演、細部まで凝った気持ち悪さが見もの。
他にも出番は少ないながら、アル・カポネの部下役でスタンリー・トゥッチも出ている。(眼鏡姿のイイ人イメージが強かったから、ビジュアル違いすぎて気付かなかったよ…!)

設定を伝える必要があり仕方ないとは言え、序盤の導入部分がちょっと長いかな… 復讐ストーリーが動き出してからは、アクションとスリリングな展開で目が離せない。
決して仲の悪い親子ではないのに知らない部分の多かった主人公父子が、逃避行の過程で絆を深めるのがグッとくる。

自分に似ず駄目な息子でも庇わずにはいられないマフィア側と、自分に似た息子に同じ道を辿ってほしくない殺し屋と。
それぞれの親子の立場にしんみりさせられる、思った以上に深いストーリーだった。


(追記)
再鑑賞したので感想追記。(2022.6.24)

主人公の殺し屋と、雇い主のマフィアと。
擬似親子と言ってもいいくらいの信頼関係で結ばれた2人なのに、ダメ息子(ダニクレ)の失態のせいで対立関係になるのが切ない……
「血縁」ってそこまで大切なもの? とか考えてしまった。不謹慎かもしれないけれど。

一方で、主人公父子は、父が仕事を明かせないゆえに心の距離を感じていた息子が、逃避行を通じて父への理解を深めていくのが泣ける。
最終的に「父親として」ではなく「1人の人間として」父のことを理解し、愛するに至るラストも感動。

それにしても今作のジュード・ロウ、顔は透明感があって美しいのに、本当に一挙手一投足が気持ち悪いんだよなあ……(褒めてます。)
わざわざ髪を抜いて役作りしたということで、再鑑賞してもやっぱりインパクト大で強烈。
チャレンジングな役を演じるのが好きなんだろうなあ……と、ジュード・ロウへの信頼度が上がった作品の一つ。
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