Keigo

ホーホケキョ となりの山田くんのKeigoのレビュー・感想・評価

4.2
TSUTAYAで貸出中で借りられなかったので別ルートから入手。

高畑勲の流れで言えば『平成狸合戦ぽんぽこ』の次、ジブリの流れで言えば『もののけ姫』の次か。…あの『もののけ姫』の次で世間からの期待もパンパンに膨れた状態で、『火垂るの墓』を創った高畑勲が満を持して産み落としたのがこれだもんな…まさに奇才という感じ。

『かぐや姫の物語』を先に観たからこそ、ああ、すでにこの時からこういうタッチのアニメーションをやろうとしてたんだ、と分かる。本作はある意味で『かぐや姫の物語』のプロトタイプでもあったのか。(ののちゃん竹から産まれてたし!)

4コマ漫画のような短いエピソードの羅列のように見えて、観終わる頃にはしっかり一本の作品として受け止められている。描き込まれた情報量や美しさで圧倒するようなアニメーションではなく、人物や背景も極端にデフォルメされているはずなのに、なぜか人物達や彼らの生きる日常の実在感がどんどん増してくる。咽び泣いてしまうようなことはなくとも、心の奥がじわっとあたたかくなる。

好きなシーンいろいろあったけど、序盤父さん母さんが突然ボブスレーを始めたと思ったらそれがウェディングケーキだったところは驚いた!(文字で説明しても意味が分からない)思わず、うおぉ、と声を出してしまった。

あと初雪が降ってきた時のエピソード好きだったなー。あの時撮った写真、ラストの方とかでさらっと見せてくれてたらどうにかなっちゃってたかも。

人間そんなに大したもんじゃないんだから、まぁそんなに力まず適当に生きましょうや。なるようになるんだから。という脱力したメッセージを、大真面目に描いた素敵な作品でした。
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