ひでG

二十四の瞳のひでGのレビュー・感想・評価

二十四の瞳(1954年製作の映画)
4.3
観たけれど、書いてない、書けていない映画をもう一度観ようシリーズ⑨


定額働かせ放題・残業代もゼロとお得職員!」SNSで流された現代日本の先生たちのブラックぶりを表す言葉。
新学期が始まって1か月以上経つのに、かなりの学校では担任不在のままだという。

大石先生、こんな日本の学校を、先生を取り巻く社会を、どう思われていますか?
きっと、困った顔をされたでしょうね。

さて、これはいつ観たのかな、、多分、父や母とテレ東の「日本映画名作劇場」みたいな枠でだと思う。学生だったので、当然大事なところは見落としています。

序盤の島の分校時代。映画紹介のスチール写真も、ここでの12人の子どもたちと大石先生との歌のシーンを使っています。(多くの方がイメージする「二十四の瞳」ですね。)

歳をとった私には、もうこの場面だけで😢😢😢でした。

久しぶりにこんな清い光景を見た気がします。懐かしく、美しく、澄んだ清水のような光景を。

足を挫いた先生に歩いて会いに行く場面もそのまま真空パックに保存しておきたい映画史に残る名シーンです。

でも、この作品、可愛い低学年と若い先生との心温まるお話では終わらないのが凄いです。
いや、むしろ、中盤からの現実が厳しい分、
この序盤が切なく、痛々しいのです。

貧困と忍び寄る戦争が一気にこの小さな島の子どもたちと若い先生に襲い掛かります。

「無事に帰ってきてほしい。」先生の当たり前の感情さえも、「あか」のレッテルを貼られてしまいます。

「せんせいが大好き!」
「子どもたちが大好き!」
人として当たり前のことも言えぬ学校と社会。
大石先生には、辞めるという選択しか残されていませんでした。


戦後のささやかな同窓会の場面も見事です。
😢😢です。

子どもたちからの🎁、そして、24の瞳が揃わないことの悲しみ、自責、、

貧困から身体を壊した女の子に対して、大石先生は、
「先生は救ってあげられない。一緒に居て泣いてあげるしかできないのよ。」

彼女は常に子どもたちに寄り添ってあげたいと願っていました。
それがこの仕事の原点で、この映画のハートだと思います。

そんな彼女の想いを貫いたこの映画には、
お涙映画に終わらない力強さがありました。

何より、その半生を演じ切った高峰秀子さんの凄まじい表現力、そこに居るチカラに満ちています。

日本映画を代表する金字塔の一本だと思います。
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