ひでG

林檎とポラロイドのひでGのレビュー・感想・評価

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)
3.5
不思議な作品。ハリウッドはもちろん、フランスやイングランドや北欧ではない感じの空気が流れている。
淡々としているが、ユーモアには流れず、
さりとて、悲壮感もない。

記憶喪失ものでも、当たり前だが、アキ・カウリスマキの「過去のない男」とは、目指すゴールも雰囲気も違う。

バスの中で記憶を失った中年の男。
すぐに病院に運ばれる。
この後、彼は、病院の記憶回復のため?のプログラムに参加する(半ば強制的に)ことになる。

劇中、記憶を失くした彼は、ほとんど表情を崩さない(ただ一回を除いて)し、言葉もあまり発しない。

病院が当てがってくれたアパートに住み、送られていたプログラムの一環なのか、不思議な指示を受け、それをボラライドカメラで撮影する。

病院側のスタッフも映画には映されるのだが、このプログラムの目的が彼にも、観ている僕にも分からなかった。
喜怒哀楽や性的な関心みたいなものを呼び戻す為なのか。

アキ・カウリスマキのようなヒューマン性でも、ヨルゴス・ランティモスのように寓話性でもない、あまり観たことのない世界で、
掴みどころが難しかったが、何か気になる、引っかかる映画でもあった。
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