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ケンタとジュンとカヨちゃんの国のtokyogirlのレビュー・感想・評価

3.8
ずっと同じ服を着て、汚くて、側から見たら倫理も何もない。それでも彼らが目指したのは光が指す優しい世界だったんだろう。

ケンタとジュンが互いに依存しすぎているせいで、この世界は2人だけで完成されているように見える場面が多くて。だからなんでケンタとジュンの国じゃないのかなぁって何度も思うのだけれど、思った次の瞬間にはカヨちゃんの存在が優しく2人の世界を広げていって。やっぱりタイトルは3人の国で正解なんだなぁと思った。
カヨちゃんのバカな優しさにジュンは救われていたんだなぁ。みんなバカなんだけどね。

松田翔太も高良健吾も大好きなので2人が出ているってだけでどうしても贔屓目に見てしまうけれど、それを抜きにしてもいい作品だった。2人の一見軽薄な立ち振る舞いが、その実内に秘めた苦しさを隠すためのものだって、最後まで見るとよくわかる。

終盤、翔太くんのお兄ちゃんとのシーンはさすが次男だなぁと思う。あの空気感は普段から弟が兄に感じるものがあるからこそ出るんだろうなぁ。リアルだ。

最後はやるせなさに胸が詰まって苦しかった。爽快に見えたそれまでの旅は爽快なんじゃなくて、先の見えない不安を掻き消そうとするがむしゃらな疾走だったのかもしれない。
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