オトマイム

ヒロシマモナムール/二十四時間の情事のオトマイムのレビュー・感想・評価

4.2
飲み込まれるような圧倒的な美の世界。端正な古い日本映画と艶やかな古いフランス映画、双方の良さが溶け合った稀有な作品。

‘ヒロシマ’と‘情事’ 。唐突に感じるふたつの単語が冒頭でいきなり結びつく。肌を重ねながら男女がヒロシマについて会話を交わす。詩の朗読のような言葉が画面から溢れてくる。
この冒頭シーンの斬新さとフランスの回想シーンの美しさは秀逸で、この構成だけでラストまで貫いても見応えがあったのでは…と思うほど。

たった一日一緒にいただけで「愛している、もう離れられない」とかいうのって正直本当かねと思ってしまうのだけれど、それを甘受できるのは映画の魔法。なかなか類を見ない美しき不倫映画である。広島を舞台に選んだのは戦争の傷跡を映し出し作品に重みを与えることとフランスとの距離があるためだろうか。

若き日のエマニュエル・リヴァ。ダレノガレ明美さんと似てるなと思いました(←どうでもいいですね)