ワンダフルデイズモーニング

いとこ同志のワンダフルデイズモーニングのレビュー・感想・評価

いとこ同志(1959年製作の映画)
5.0
最後までずっと面白いけど、こーゆーの観て「なんでこんな物語観なきゃいけねんだよ」とシャブロルにムカつく気持ちをちゃんと抱くことが大切に思う。我々にも楽しく生きるべき人生があるから。
 同居人≒シャルルとポールがいとこ同志、つまり血を分けているってのが、意識に上っているかどうかはともあれシャルルのギザカワイソス性を高めている。シャルルに「わかるよ、俺もおなじさ」と言えるほど学生時代に勉強に打ち込むでもなく、またポールもしくは仲間連中のようにめいっぱい遊んだりもせず、では何をしていたのかというのを振り返るにつけマジでダラダラ何もしていなかった私にくらべれば本屋のおじさんに激励されるシャルルの方が積み上げているものがあるのだけど、一心不乱に積み上げ積み上げても「試験」というのはその過程ではなくて試験当日いかに正答を解答用紙へ書き込めるのかでしか合否を下されない。人生が己だけの日々の一挙手一投足への選択とその結果としての事象で成り立つならばシンプルだけど、同じフィールドにいる他人にも自分と同じだけ選択肢と結果があるから世界は複雑で難易度が高い。ラストシーンでシャルルとポールが同じ出来事によって運命の決定的な変化を同じく与えられるというのが、一〇〇分かけて希釈されていたいとこ同志の血の結びつきを再び浮かび上がらせるというのは、ある側面でテーマが呪いだったようにも見える。