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戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTHのmasatのレビュー・感想・評価

戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTH(2009年製作の映画)
3.5
3Dモニターで鑑賞。
リチャード・フライシャーの『絞殺魔』(68)をかなり意識していた。
“私は何故、ヤッてしまったのか?”が迷宮入りの主人公へ、ヘンリー・フォンダさながらの刑事が“空間性を持って”誘導する。
そんなサイコスリラーに、
10年後、雨の夜に帰ってきた行方不明の少女は、確かに“帰って来ていた”と言う不可思議な怪奇性を掛け合わせる。
そして、中心に聳え立つ巨大な“お化け屋敷”の奥深くに入っていくと、それは綿毛が飛び交うウサギのぬいぐるみの中であり、少女の心の中だった、と言う、欲張ったプロットがなんとも魅力的であった。

そう言った幾重にも重なった世界観を、空間性を最優先した3Dのコリオグラフィーが巧妙であった。崇高であり、低俗でもある、そんな3次元の映像空間を理解し尽くした設計が、外連味溢れ、愉しい。

また5人の男女が、やけに艶かしく、夜の闇の中を、お化け屋敷の黴臭い空間を右往左往する。
5人のキャラクターの身勝手さが、それなりに描き込まれているので、2D版で観ても、群像スリラーとして、堪能できる。
土曜の夕方から始まり、日曜日の朝に終わる、忘れてしまっていた“本当に怖い事”を巡るスタンド・バイ・ミー、青春の最終章。
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