ハレルヤ

オープニング・ナイトのハレルヤのレビュー・感想・評価

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)
3.8
ベテラン女優のマートル。自分のファンが事故死したのを目撃した事が原因で、酒に走り、幻覚を見たり、精神が不安定になっていく姿を描いたサスペンス映画。

ジョン・カサヴェテス監督、ジーナ・ローランズ主演の「こわれゆく女」と同じ布陣で描かれるベテラン女優の混乱。あの作品でも感じましたが、まさにジーナ・ローランズの独断場と言える圧倒的な演技力に魅せられた2時間半弱。

事故死したファンが自分の昔の姿に見えて、幻覚まで見てしまう状態に陥ったマートル。新しく始める舞台のリハーサルもまともに進められない。

心のバランスを崩したままで、セリフを変えるわ、小道具を雑に扱うわ、観客に話し掛けるわ、挙句の果てに行方不明になるわで、メチャクチャな行為ばかりするマートルの様子に、周囲も怒りと困惑だらけ。

僕が前日に見た「フェイシズ」でも感じた登場人物たちの表情にクローズアップしたカメラワークは本作でも随所で見られたもの。マートルや周りの人間の喜怒哀楽がよく分かる形でした。ジョン・カサヴェテス監督の手腕は良い意味で相変わらず。本人も出演していて実の妻であるジーナ・ローランズとの夫婦役も見所です。

マートルが本作の舞台でのテーマである「老い」を意識しすぎて葛藤するところもポイント。人間としては避けて通れない。でも女優としては致命的にも繋がってしまう。この狭間で悩み抜くのも見応えがあるところでしたね。長い映画ですが終始引き込まれる内容でした。
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