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ショコラのにもののレビュー・感想・評価

ショコラ(2000年製作の映画)
5.0
フライパンの正しい使い方を学べる映画。

これは人々の解放の物語だと思う。
村人の模範となるべく自分を律し、敬虔な暮らしを守ろうとする村長レノ伯爵。村の掟に従わない余所者のヴィアンヌが気に入らず、嫌がらせを繰り返す。
一方ヴィアンヌは、先祖代々そうしてきたように次から次へと色んな町を転々とし、他者に流されることなく自由に暮らしている。
このふたりは対立しているが「自分はこうあるべき」と縛られた生き方をしている点で、かなりの似た者同士だ。

ショコラには他にも多くの「縛られた」人々が登場する。そして誰もがチョコレートの力によって解放され、新たな一歩を踏み出していく。(DV夫は…)

カンガルーが旅立つラストシーンが美しい。

ショコラを初めて鑑賞したのは確か10数年前で、既に3回観ている。4回観てもっと好きになった。
レノ伯爵がチョコを貪るシーン、以前観たときは笑った気がするのだけど、今回は彼に感情移入して涙が滲んだ。今まで信じて耐えて頑張ってきたものはなんだったんだ…やるせない…。

ルーのお気に入りのチョコレートを当てられなかったのはわざとなのかな。自分の中でまだ答えが出てないところ。
チョコレートの表現(特にバースデーパーティーのシーン)が魔術のようで、良くないものを覗き見しているような気分になれて良かった。
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