都部

レイダース/失われたアーク《聖櫃》の都部のレビュー・感想・評価

3.4
言わずと知れた名作シリーズの第1作であり、"文化的・歴史的・芸術的に高い価値を持つ映画"のみに登録を許されるアメリカ国立フィルム登録簿に選ばれた作品です。後々の活劇映画の風潮への影響も大きく、著名な劇伴のみならず 既視感を感じる場面やアクション映画のあるあるで構成された本編はそれはそれで別種の面白さが感じられないこともない。

本編はといえばトラブル続きの『転』の繰り返しで、物語の緩急は最低限として常に事件が起き続ける脚本は、大衆に向けた分かりやすい面白さが病的に詰め込まれていてその偏執的な姿勢は恐怖すら感じさせる。5分くらいジョークやアクションなしでも私達は映画から興味を失ったりしないよと言いたいのだが、アクション/コメディ/ホラー/オカルトと矢継ぎ早に愉快な展開が飛び込んでくるジェットコースター感が本作の肝であるからこれが最適化されたモデルなのかもしれない。

若かりし頃のハリソン・フォードが演じるインディは魅力的なキャラクターで、頼もしさと情けなさが同居した語り部としてのこのバランス感覚が好ましい。剣戟を望む相手に対して気だるそうに銃撃で返す冷静な視点も作劇上の小粋なジョーク仕草として上々で、そんな魅力的な語り部だからこそ、物語の高速な進行に併せて『次にインディがなにをしでかすのか』と観客は食い入るように映画を目で追うのである。

CGIが未発達の当時だからこそ撮影できた脂の乗った画作りもそうですが、大衆に好まれる活劇映画にも関わらずホラー調の場面の凝り方がマジなのも好きなポイントで、ある種 肩透かしとも言えるオチに強力な絵面を乗せることで強引に物語を締めに持っていく手腕も非常にエンタメ的で評判も納得の作品です。2作目の方が無茶苦茶らしいけど、これ以上に無茶苦茶なことがあるのか?
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