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ヘラクレスのロアーのレビュー・感想・評価

ヘラクレス(1997年製作の映画)
3.7
おそらくこれが、人生で初めてギリシャ神話に触れた瞬間。
これまでの作品のように最初から子ども向けにテイストを甘くしたバージョンのある童話が原作じゃなくギリシャ神話をベースとしているせいで、公開当時「設定が違う!」という意見もあったそうだけど、いやいや、あんなドロドロしたギリシャ神話をそのままの設定でアニメ化したら、ディズニー作品じゃなくてもヤバいでしょうが!と、大人になってギリシャ神話をそれなりに齧った今、思う。

とは言え、絵柄も独特のタッチで、決して子ども向けの作品とは言い切れないのが今作の魅力のひとつ。
美術的なデフォルメが効いていて、壺に描かれた絵から飛び出すゴスペル・トゥルースの面々の演出も良い。
あのゴスペルの女神たちにもそれぞれにちゃんと名前があって、芸術の女神ミューズたちだったと知ったのが今回の再鑑賞の収穫だった。ところどころに出てくるユーモアもウィットに富んでいて、ネタも大人向けな気がする(大人向け=下ネタって意味じゃなく、知識と教養を必要とする笑いって意味)。

ヒロインも珍しいタイプよね。
セクシーヒロインの代表ならエスメラルダもいるけど、敵側に加担してるヒロインって本当に珍しくて、公開当時も子どもながらに何だかメグの存在にドキドキした記憶がある。「男なんて...」って口にしちゃうような世間すれしたセクシーなお姉さん(ドキドキ)。しかも吹替が工藤静香(ドキドキ)。

対するヘラクレスがひたすら純粋で少年っぽくてメグと真逆なのも良いし、実は内面はまた違っててメグは愛に生きる乙女だしヘラクレスは案外しっかりしてるし、そんな二面性も良い。メガラ=メグ、ヘラクレス=ハークって愛称もなんか好き。てか、ベビーフェイスな巨乳キャラって男子に人気があると思うんだけど、それって女子でいうとベビーフェイスでマッチョなキャラにも当てハマるところがあると思う。これ、今度「ターザン」を観た時にまた同じことを言いますので「また言ってるよ」って思ってくれて大丈夫なやつです。

ハデス様も一見コミカルなキャラなんだけど、あのコミカルさがなかったら相当凶悪なことをしてるので、キャラの個性だけじゃなく、物語のバランス的にも必要なことだったんだな〜と今にして思う。
手下のパニックとペインの存在も良い。「ナイトメア〜」のショック・ロック・バレルと同じく、悪気なんてない純真な悪がまさに悪魔って感じで。
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