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アイ・カム・ウィズ・ザ・レインのslowbird2000のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

トラン・アン・ユン監督『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』DVD初見。
『ノルウェイの森』『青いパパイヤの香り』等で鮮烈なイメージの映像を描き出しているトラン・アン・ユン監督の2009年の作品。

ここまでノワールな作品だとは思いませんでした。そして哲学/宗教的なスパイスが素晴らしい作品でした。まさか木村拓哉がイエス・キリスト的な役だとは思いもよりませんでした。

奇想映画的視点からは、フランシス・ベーコンの「キリスト磔刑図のための3つの習作」(1944)を、人体を使ったオブジェとして作るシリアルキラーが出てくるところが凄い。その具現化シーンは予告篇にも出てきますが、再現度が凄まじい。そして人類の苦痛について語るサイコパス。

ここまで振り切った作品を作った後に、ユン監督は『ノルウェイの森』を撮ったわけで、あの作品の底流に流れる昏い闇はこんな経緯で産み出されていたのかと、感嘆したのでした。これはお薦めです。

21.01/07
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