サイレント時代から活躍する銀幕スターで、不仲でも知られたベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードの2大女優が激突した戦慄のサイコ・サスペンス。
舞台で人気子役のジェーンと彼女を羨む姉のブランチ。大人になると立場は逆転し、姉は大女優になり、妹は酒浸りの日々に─そして自宅前で起こった事故。ここまでが物語の「起」に過ぎずタイトルバックとなる。わずか10分程度で波乱に満ちた姉妹を描く始まりに思わず唸った。
「Yesterday」のテロップがオープニングの後に入るので、てっきり事故の前日に遡ったのかと思った。ややこしいのでこれは要らない。姉を車で轢き、半身不随の車椅子生活にさせた妹ジェーン。2階に閉じ込めた姉をいびりながらも世話をするのだが、その姿が贖罪にも憎悪にも見えた。
「サンセット大通り」と「ミザリー」を足したような作品だが、今作の見所はなんといっても2大スターの女優魂。遠い過去の栄光にしがみつくデイヴィスの怪演と、自由を奪われたクロフォードの迫真の演技が凄まじい。私が主役よ、いや私よと言わんばかりの壮絶な演技バトルだった。
ジャーンと激しく鳴り響くピアノが始まりの合図であるかのように、精神に異常をきたしたジェーンの狂気が加速する。姉への嫌がらせがエスカレートする一方で、時折覗かせる少女の面影。心は子役スターでも鏡に映るのは年老いた自分、そんな姿を見て嘆く彼女が痛々しい。
姉を散々いたぶって、窮地になると助けを求めるジェーンは子供で、「みんながいじめる、邪魔をする」という台詞は子供のまんま。事故の真相が明かされ、最後には完全に子供になる結びが見事。これは怪作だ。