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何がジェーンに起ったか?のmのレビュー・感想・評価

何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)
4.9
ショービジネスの世界は女優にとって非情で残酷な世界だ。そんなショービズの残酷さに姉妹の捻れた愛憎が加わって、それらが一軒家の中で煮詰まって爛れていき、恐るべきサイコ・スリラー劇が繰り広げられる。

ジェーン役のベティ・ディヴィスの狂演が凄まじい。
姉に対して高圧的に振る舞う様、姉や家政婦以外の他人と会う際の子役時代の媚がそのまま染み付いてしまったような芝居掛かった挙動、女優本人が自分でやったという厚く塗り込められ崩れたメイク(あの頬の小さなハート!)、と何から何まで見事な練り込みっぷり(あの全く年相応ではない子役じみた髪型や衣装も凄い)。さらに凄いのが、時折猛烈な弱さを無防備にさらけ出す事で彼女が悪役にならず、むしろ最終的には主人公になっている事だ。ラストシーンの完全に壊れ切ったけれど幸せそうな彼女の姿に心が痛んだ。

姉役にして実はこの映画の企画の発起人でもあるジョーン・クロフォードも、受けの芝居をきっちりとやり遂げている。


この女優2人の壮絶な確執は有名だが、今作の製作のバックボーンとその後(それを描いたドラマの内容)と、古今のハリウッドの女優を巡る状況とを絡めて記述したこの文章を読んで、少し印象が変わった。良い文章なのでお時間あれば是非御一読を。
https://note.mu/papurika_dreams/n/n35fed0103cb3

映画の内容も製作の裏側も、残酷な映画だ。
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