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レポゼッション・メンの一人旅のレビュー・感想・評価

レポゼッション・メン(2010年製作の映画)
4.0
ミゲル・サポチニク監督作。

近未来を舞台に、債務者から人工臓器を回収する男が辿る末路を描いたSFスリラー。

リドリー・スコット監督『マッチスティック・メン』(03)の原作者であるアメリカのSF作家:エリック・ガルシアによる2008年発表の小説「The Repossession Mambo」の映画化で、ジュード・ロウ、フォレスト・ウィテカー、リーヴ・シュレイバーら実力派の俳優が競演しています。

ユニオン社が製造販売する人口臓器が普及した近未来を舞台に、臓器に対する多額のローン返済が滞ったユーザーから臓器を強制的に回収するレポマン(回収人)の男:レミーを主人公にして、業務上の事故で自身の体にも人工心臓が埋め込まれてしまった主人公が臓器を狙う他のレポマンの追跡から逃れるべく奔走する様子を、元相棒のレポマン:ジェイクや主人公が助け出したヒロイン:ベスとの関わりを絡めて描いた近未来SFスリラーとなっています。

“ミイラ取りがミイラになる”パターンのSF映画で、ローン遅滞者の肉体を切り裂いて人工臓器を取り出す合法的職業であるレポマンが、一転して今度は自らが他のレポマンに追われる立場に様変わりしていくスリラー展開が見物となっています。追う者から追われる者へと転落した主人公の、行きずりの女を巻き込んだ必死の逃亡と現状打破に向けた命懸けの行動をスリリングに描いていますし、同原作者の『マッチスティック・メン』を連想させる捻りの利いた結末にも驚かされます。

蛇足)
アレックス・コックス監督の『レポマン』(84)というローン未払いの車を回収する青年を描いたSF映画もありますが、本作とは無関係です(原題は「Repo “Man”」、本作の場合「Repo “Men”」で複数形です)。
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