イマノ

花様年華のイマノのレビュー・感想・評価

花様年華(2000年製作の映画)
3.5
個人的火曜ロードショー、4作目【花様年華(2002/香港)】以下感想。
・「かようねんか」と読みます。監督はウォン・カーウァイ、香港の映画。花様年華は「青春時代」的な意味だそうです。
・監督も作品も全然知りませんでした。

・あらすじ読むと既婚者でお隣どうしの男女の不倫を描いたラブロマンス…という感じだけど全然違った。いや違くないけど。でも違う。儚い。
・儚いといっても「ある駅で十年ぶりに降りたら駅前の知ってる店が全部なくなって新しい建物ばかりで懐かしさすら感じさせない」という感じの儚さ。

・一見、恋愛映画っぽいけど恋愛映画観たい人にはたぶん刺さらないし、エンターテイメント作品でもない。
・時間の経過がとにかく分かりづらい。前のシーンと次のシーンが数時間後なのか数日後なのかが分からない。

・でも演出が下手とかではなくて時間的な不安定感を出す効果だというのはすぐわかる。ぱっと画面が変わりほぼ同じ構図で人物が立ってるけど服装だけが違って翌日(以降)になってなってたりする。
・画作りはとても好きな部類です。暗くてジメジメして少し淫靡な感じ。

・オーバーな選曲は少しコメディ臭くもあるけど、割と好みではある。
・1960年ころの香港という国や、時代の雰囲気、国民感情みたいなのを、プラトニックな不倫というラブロマンスの体を借りて表現しようとした作品じゃないだろうか。文学的というか。森鴎外の舞姫を思い出しました。

・実はこの映画(直接話はつながっていないにしろ)3部作とのことでこの映画をもっとよく知るなら1966年前後の香港を含む東アジアの歴史とか踏まえた上で残り2作品とかも観る必要があると思う。事前の素養が要求されるわりと現代美術みたいな作品だと思いました。

以上です。
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