おと

ソラニンのおとのネタバレレビュー・内容・結末

ソラニン(2010年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

いつの間にか、分からない事をわからないと言っちゃうような、真面目に不真面目をやっている人間が少なくなってきているかもしれないと思った。

当時としてはシンプルイズベストのような映画だったと思うけれど、今見てみると真新しい人間達に見えてしまう。
周りを気にし、クールに、自分一人で抱え込み思い悩む、内向的な方向へ日本人は向かっていってる気がする。(映画の内容と全く関係ない)
人間くささとはまた違った人間味を感じた。

平成を感じるセリフ回しが気になることはあった。
ただ、宮崎あおいと高良健吾の演技が良かった。
元々好きな俳優だったけれど本作ではより磨きがかかっているというか、「上手な素人」のような演技がとても心地が良い。
俳優である事を忘れてしまうほど、隣の友人としてこちらに寄り添ってくれる。
言語化する事はできないけど、テクニックとはまた違う何かがあるんだろうな。

ストーリーの構成も良くて、前半はまさにゆるくゆったりと時間が流れていき、後半からソラニンという曲を通じて想いを馳せ向き合い、お別れ(旅立ち、自立、父親殺し)をしていく構成が好きだった。
語らいによってではなく、ソラニンに向き合うことで乗り越えていくというのが映画的で良い。
そしてその道のりのゴールとして、身近な周りにいる人達への感謝と、それによってずっと抱えていた不安の払拭へと導かれているのが見事。

「あんた、いい奴だよ」の言葉選びが良すぎて泣いた。
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