都部

ドラえもん のび太の創世日記の都部のレビュー・感想・評価

3.1
『なんか凄いことになってる……』と、恐れ慄く他ない他映画と明確に異なるアンコントラーブルな壮大さにより語られる物語は無二の味わいで、オチとして用意された一連の事態の収集の付け方も、新たな問題が発生する土壌が整っただけでなのではという不安が鑑賞後に付き纏う。

本作が賛否両論になる点としてドラえもん一同が、この作られた世界の神様として徹底して傍観者の立場にいるからであり、冒険はおろか危機にも陥らないというのはなかなか奇特である。

本作以前/以後のドラ映画に求められるような面白味を欠いているので、たしかに本筋を追うだけではつまらなさや物足りなさがある。
ただ自分達の支配下にある世界と自分達の世界の歴史と些細な差──進化した昆虫生命体──が物語を牽引するフックとなっているし、その真相はあっさりとしたものであるもののまあまあ納得のいく話である。

というかこの映画を本気で面白く語るなら90分という上映尺は少なすぎだし、のび太側の舌切り雀のつまらんオマージュじみた話よりもダイジェスト気味に語られた海外諸国の歴史への介入の方が断然面白そうだったのはどうなんだろうか。星の生まれから人類の成り立ちや営みを掻い摘んでのび太達と目にするのが本作の肝なのだろうが、短い上映時間がこの観察のダイジェスト感をより強めいたように思う。
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