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宮本武蔵 巌流島の決斗のpapandaのレビュー・感想・評価

宮本武蔵 巌流島の決斗(1965年製作の映画)
4.1
五部作+番外編一作の第5作、一乗寺の決闘の後から舟島での佐々木小次郎との決闘までが描かれる。物語はじめの武蔵の異様な風貌はまるで亡霊みたい。それが伊織少年の父代わりとなって畑を耕し作物を育てることで人としての気持ちを甦らせるようだ。出世や自己顕示の欲を削ぎ、絵や書の中に物事の本質を見つけていく。剣を学ぶことは強さを誇示するのではなく、無用な争い事を避けること。決闘前夜の武蔵と小次郎の食事の違いが二人の心持ちの違いを表しているようだ。剣の道を極め腕を磨くことで人間性を高めていく、でもそのためにどれだけの人の生命を奪ったのか。剣は所詮武器。最後の武蔵の空しさはそのまま現代にも通じる。戦争を終わらせるためのものではなく、原子爆弾は大量殺人兵器なのだ、というように。
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