Jimmy

フューリーのJimmyのレビュー・感想・評価

フューリー(1978年製作の映画)
4.8
デ・パルマ特典映像が見たくて発売日に買っておいた(Blu-ray)「フューリー <HDリマスター版>」をようやく観た。何年保管していたのだろうか…?😄w
合計4時間(本編118分+特典映像122分)を一気見!
本編はさすがリマスターされただけあってクリアな色合い、特典映像でも撮影監督が「Blu-rayになって色の補正も素晴らしい」と言っている。

さて、このブライアン・デ・パルマ監督作品、時々思い出したように鑑賞している映画。

「中東1977年」のノドカな父子の海水浴風景から始まる。(撮影地はイスラエル)
父ピーター(カーク・ダグラス)と息子ロビン(アンドリュー・スティーヴンス)がテーブルに座っているところを「回転撮影」、冒頭からデ・パルマ監督、見せてくれる。
ピーターとチルドレス(ジョン・カサベテス)は20年来の付き合い。
そこに、いきなり銃撃が始まり、ピーターの乗った舟は爆発して死んだかと思いきや、生きていて、チルドレスと銃撃メンバーとの接触場面に怒ったピーターはチルドレス達に向かって銃撃する。チルドレスは腕を撃たれる。

続いて「シカゴ1978年」では、ギリアン(エイミー・アーヴィング)が友人とビキニ姿で歩いているが、後ろからヨレヨレ背広を着た男=レイモンド(ウィリアム・フィンレイ)がついてくる。
そのレイモンドの電話「ギリアンという女の子は超能力者だ」という電話は『盗聴』されている。ここも、デ・パルマ監督らしい場面。

ピーターは追われている。ギリアンは学校で超能力テストを受けている。ギリアンは電車を脱線させるほどのパワーを見せる。学校の友人の中には『キャリー』でいじめ女学生を演じた女子生徒(ヒラリー・トンプソン)もいて「鼻血ブー」。
また女子生徒の中にはダリル・ハンナもいるが若い!

逃げたピーターを描く場面では、線路の上からホテルを映してそのキャメラがゆっくりと下がりながら移動してきて反対側にあるホテル出口のピーターを映すという「素晴らしいカメラワーク」が見られる。これも、デ・パルマ監督、さすがである。

カーチェイスの後、ピーターの乗った車がビル屋上に停車する場面を俯瞰で捉えたショットは同じアングルで夜から朝となる。これまた見事な映像。

ギリアンが超能力研究所(パラゴン研究所)に入って、所長の手をつかむと「ロビンが窓から落ちる場面」が見える。そして、ギリアンの背景は「ギリアンの頭に浮かんだ風景の合成ショット」となる。映像的に凝りまくりのデ・パルマ監督、楽しませてくれる。

そして、研究所から逃げるギリアンの「スローモーション場面」。デ・パルマ監督の得意技。
デ・パルマ監督のスローモーションは『何かが起こる合図』であるから、「何が起こるの?」と見ていると、交通事故でピーターの愛人死亡。

遊園地の回転遊具が暴走するあたりは、ヒッチコックの『見知らぬ乗客』のメリーゴーランド暴走シーンへのオマージュに思える。

撮影監督:リチャード・H・クラインのカメラも凝っていて、デ・パルマ監督とは多数コンビの編集:ポール・ハーシュによる本作はデ・パルマ監督らしい見どころ詰め込んだ大満足の映画🙂



<以下、ネタバレあり>

[Blu-ray特典映像](抜粋)
1.撮影監督リチャード・H・クライン インタビュー
「リハーサルをしなかったデ・パルマ監督にリハーサルの意義を伝えたら実施するようになった」、「撮影現場から、その場面に関係ない人たちを追い出す提案」するなどしたとのこと。また、シカゴの街中を走る車のリアウィンドウに「スクリーン・プロセス」を採用することを提案して、デ・パルマ監督としては初めてのスクリーン・プロセスとなった。
デ・パルマ監督は気に入って、エイミー・アーヴィングが階段のところで360度回転するシーンでもスクリーン・プロセスを採用。……確かに、良い場面だった。
また、「スプリット・ディオプター」という焦点2つの撮影方法では、近くの手と遠めの顔にピントが合ったりする効果あり。
ロビンが超能力で女性を空中回転させて殺す場面では、降圧器を使ったり、ワイヤー使ったりした。
ラストのカサヴェテス爆破シーンは、蝋人形を使って5台のカメラでいろんな角度で狙って撮った。これを2回行ったとのこと。……だから、あれだけ素晴らしいクライマックス編集となったのだろう。
2.フィオナ・ルイス インタビュー
空中回転させられて死亡した女性を演じたが、それを撮った日に、カサヴェテスも血だらけとなり、二人で「血まみれで食べるサンドウィッチだった」とのこと。
高速回転の血だらけ女は人形。
3.サム・アーヴィング インタビュー
デ・パルマ監督の助手兼ライターのようだ。あのシドニー・ルメット監督が撮った『プリンス・オブ・ザ・シティ』は、デ・ニーロ主演でデ・パルマ監督の予定だったが、デ・ニーロの他作品撮影終了を待っている間に、ルメット監督になってしまった。
4.映画公開時インタビュー
(1)ブライアン・デ・パルマ監督
(2)フランク・ヤブランス……製作
(3)エイミー・アーヴィング
(4)キャリー・スノッドグレス(ヘスター役)
5.オリジナル予告編(日本語字幕付き)
6.スナップ集

見応えタップリの特典映像であった。
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