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フューリーの一人旅のレビュー・感想・評価

フューリー(1978年製作の映画)
3.0
ブライアン・デ・パルマ監督作。

誘拐された超能力者の息子を取り戻すべく奔走する父親の姿を描いたSFサスペンス。

アメリカの作家:ジョン・ファリスによる1976年発表の小説「The Fury」をブライアン・デ・パルマ監督が映像化した“超能力サスペンス+父親奮闘劇” で、『キャリー』(76)の成功で波に乗っていたデ・パルマ監督が勢いそのままに再び超能力者をテーマに撮った姉妹編のような位置づけの作品となっています。

超能力を持つ息子が政府組織に誘拐されたことを知った元諜報員の主人公が、息子とテレパシーで交信することのできる若い女性からの協力を得、最愛の息子を取り戻すべく奔走する―という内容のSFサスペンスで、執念の捜索に乗り出す主人公をカーク・ダグラス、彼を裏切った宿敵に『アメリカの影』、『フェイシズ』、『こわれゆく女』、『ラヴ・ストリームス』等インデペンデント系の監督としても知られるジョン・カサヴェテスが扮しています。

誘拐された息子を巡る父親の捜索劇に、超能力というSF的エッセンスが融合された作風が特色となっています。制御不能な自身の超能力に苦悩する女性に触れられた人間が突如出血するシーンや、手で触れた相手の過去の記憶を鮮烈な映像をもって読み取るシーン、念力で人間を宙に浮かせ回転させるシーン等、凝った超能力描写(CG不使用)が満載となったSFサスペンスで、極め付きは、念力だけで人間を内側から爆発させる―衝撃度万点の“人間爆砕”シーンであります(かなり気合の入った演出のようで、同じカットを別角度から10回以上繰り返しています)。

蛇足)
音楽はジョン・ウィリアムズ、特殊メイクはリック・ベイカーとその道の一流が携わっており、『キャリー』の陰に隠れさせておくのは勿体ない作品であります。
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