画面を切り裂く少女の叫び声が悲痛極まりないトラウマ級の傑作。
破壊される肉体が本作でも登場し、そのおぞましい造形に「待ってました!これぞ、クローネンバーグ!」と掛け声をかけたくなりました。
本作製作中、最初の奥さんとドロドロの離婚協議中だったらしく、作中に蔓延する生々しい陰惨な風土は、なるほどそういうことかと納得すると同時に、私生活のネガティブな問題をこんな薄気味悪い映画に仕立て上げるなど、やはりクローネンバーグは筋金入りの変態だと感心すらします。
ラストのオチには、絶賛公開中の怪獣映画の新作を思い出させたのですが、あちらが戦争の狂気が生んだ怪物、こちらが人間の怒りが生んだ怪物と何処か似たような主題を扱っており、ひょっとしたらクローネンバーグに次作を撮らせてみても面白いのではないかと、万一にも実現しそうにない妄想を膨らませてニヤニヤするのでした。