【いいからヴィゴ、パンツはけよ!】
ガス・ヴァン・サント監督によるリメイク。まるで興味なかったのですが、ふと魔が差し、みてみました。
…が、なぜカット割り似せてまでリメイクしたのか、よくわからず…。まあパロディとして、元ネタと比較しながらけっこう面白がっちゃいましたが。
まずフェニックスの空撮から、マリオンとサムのご休憩部屋にワンカットで入り込みます。これはヒッチがしたくてできなかったこと。
気持ち良き導入…なのに、マリオンは原作通り下着姿なんですが、ヴィゴ・モーテンセン演じるサムがわざわざ、このシーン、始終フルチン!監督の趣味なのでしょう。つかみで爆笑、先が楽しみになります。
マリオン役のアン・ヘッシュさんはコメディエンヌに見えます。ドジはしないけど(人生にはドジりますが)ドジっ娘キャラみたい。ジャネット・リーさんとどうしたって比べちゃうから余計にそう映る。これも狙いかなあ?あちこちで笑いを取ろうとしてるようにしか思えないんですよね、この映画。
ヒッチと違い、ゲイであるサント監督は女性に幻想持ってないせいか、例のシャワーシーンも容赦ないですね。
規制があったにせよ、ヒッチはジャネットさんの肢体を剥き出さずキレイに撮っていましたが、こっちのアンさんは、肛門覗くほどあけすけなポーズを晒してます。…見どころですけどね(笑)。血は絵の具みたいでしたが。このシーンはやっぱりモノクロの方がこわいと思った。
ノーマン・ベイツにヴィンス・ヴォーンって、思ったほど違和感なかった。元ネタ知らなければ全く気にならないかも。でも並の変態なんですよね。ねじくれ度がアンソニー・パーキンスには及ばない。
マリオンの着替えを覗きながら、さかった中学生みたいなこと始めちゃうし。…健やかじゃないか(笑)。ちなみに覗き穴を隠す絵は「スザンヌと長老たち」からフラゴナールの「閂」に変わっていて、より直球リビドー。
探偵アーボガストがウィリアム・H・メイシーじゃあ、登場した瞬間に死亡フラグ立っちゃうから面白くないよ!(笑)
逆にライラが、二代目クラリス襲名前でもジュリアン・ムーアじゃあ強すぎ!絶対勝てそう。乳揺らしてマリオンよりフェロモンふり撒いてるしなー。
で、母ちゃんの正体…のクライマックスは、元ネタでも私には怖いより笑い、でしたが、こっちはもうギャグ。鍋で頭カーンてドリフかよ!どうせならタライ落とせばいいのに。まさか『サイコ』でここまで笑えるとは思わなかった!サイコーです。
でも精神科医はよかった。こちらの方が、口上短いし落ち着いてるしでロバート・フォスターの勝ち!
全体に、これ偏見かもだけど、異性愛のねじれから生まれた男ノーマン・ベイツを、ゲイの監督が描いてねじれが薄まってしまったような気がします。元ネタの時もアンソニーの噂から、ノーマンがゲイだという説がありましたが、マリオンに欲情することを無視しているしありえないと思う。
やっぱりノーマン・ベイツはヒッチのようなムッツリ男が描いてこそ、引き立つのかもしれません。
<2013.8.18記>