安堵霊タラコフスキー

ハロルドとモード/少年は虹を渡るの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

4.7
昔見たときはそこまで響かなかったけど改めて見たらかなり胸に響いた映画ってのがよくあるけど、このハル・アシュビーの代表作もそんな映画の一つになった。

まず主題となる青年と老婆の恋愛だけど、モードを演じたルース・ゴードンの茶目っ気により実に愛嬌のある存在となっていたから惚れるハロルドにも感情移入できたし、この作品の評価も彼女がいるのといないのとでは全然変わっていたかもしれない。(彼女が運転する車の疾走ぶりも向こう見ずでありながら可愛気があったように思えた)

加えてその主役二人のデートシーンで主に発揮されるハル・アシュビーとジョン・A・アロンゾの映像センスも抜群で、原っぱとか見映えの良い場所だけじゃなく霊園とかガラクタ置き場とか普通はデートに用いることのない場所を叙情的に映したりする様子は独特ながら印象深く、特に段々と超ロングショットへ移行する霊園のシーンには度肝を抜いた。

終わり方に若干不満は残ったけど、過程となる青年と老婆の純愛っぷりはとても胸を打つものになっていて実に良かったし、この機にハル・アシュビーの他の作品をもう一度おさらいしてみたくもなった。

それにしても最初見たとき何故気に入らなかったのか我ながら謎だけど、車の窃盗行為を看過できなかったとかそんな些細な理由だろうか。