歌代

ONCE ダブリンの街角での歌代のレビュー・感想・評価

ONCE ダブリンの街角で(2007年製作の映画)
2.9
前半は結構好きなシーンが多く、特に楽器屋でのセッションはかなり良かったです。
音楽やってる者として「あ、気持ちわかる」ってなれました。
掃除機ひきずりながら並んで歩く絵面とかもよかったです。

しかし、観てる最中かなりいろんな部分に引っかかりも感じていました。
話の展開のテンポで誤魔化されてたけど、ストーリー、キャラクターは納得しかねる部分が多い…。

(テンポについても手放しに評価できる感じではなく、ちょっと曲長すぎじゃない?って気分になりましたが)

ロマンチストとして描かれる主人公ですが、ちょっとあまりにも考えが浅いというか…。10代ならともかく少なくとも30代はいってる男がここまで未成熟なのはどうなの?という。
ロマンチストだからというので言い訳が効くレベルじゃ無い青臭さ。

ヒロインも同様に感じました。
特に彼女が書いた詞は恋愛に対してずっと受け身で、表現に関してもお世辞にもいい歌詞とは全く思えませんでした。

では、そんな2人が恋や音楽を経て成長する話なのかと思いきや。
この映画、登場人物たちが成長したとはまったく思えなかったです。
監督が後に撮る『シングストリート』でも「この街を抜け出してロンドンにでたい」という主人公が出てた記憶がありますが、今作での主人公は後半になればなる程に、内面的なロンドンに向かう理由が無くなっていくというか。
たしかに音楽的に行く理由はあるんだけども…

音楽描写についても、楽器屋のセッションは良かったのですが他で引っ掛かるところが多く。
レコーディングの時のドラムの入りが良かった分、叩いてる姿が映った瞬間全然違う動きしてるのでちょっと冷めたりとか。
そういうのが多かった…。

なんでこの2人20代前半とかにしなかったんだろう…。
歳取ってる設定がかなり裏目に出てる気がしたのです。
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