Mashirahe

007/オクトパシーのMashiraheのレビュー・感想・評価

007/オクトパシー(1983年製作の映画)
3.8
なんとなく前作ではこなれていなかったケレンを物にして、全体的にアメリカ映画っぽい演出を使いこなした佳作
例えばオープニングの恐ろしさなんかはどことなく80-90年代スプラッターホラー風で、列車パートの編集リズム、サスペンスの盛り上げ方は80年代の大作アクションっぽい
さらにロケーションが分かりやすく、東独→インド→東独→インドとなっていてシーンの回収をわざわざサービスしてくれる!旅行しまくってたせいで話を覚えるのが大変なあのボンドが! まあちょっとそれでこぢんまりとした印象を受けちゃうかもですけど…
また監督の特徴である超絶アクションの撮影方法もかなりこなれたというより割とスタント丸出しでもいいやと開き直っていて、どう凄いのかがよく伝わるようになっていた
一方でインドでのこれでもかと言わんばかりのステレオタイプ描写と高慢なジョークはいかにも過去の007らしく、またオクトパシーの謎めいた凄みや組織の途方もないバカバカしさはどことなくドクター・ノオを彷彿とさせられ、ムーアボンドらしさを形成している
オクトパシーサーカスが大活躍を見せ、ボンドが超人アクションで死闘を繰り広げるラストのシーケンスは作劇上完璧な蛇足だが、ひたすら豪華であらんと転がりまわる姿はいかにも映画007的で素晴らしいと思った
10作目のマーヴィンハムリッシュから元祖のジョンバリーを聴くとブラッシュアップしつつ金管の魅力に溢れていて良いサントラだなと思う
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