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パパ/ずれてるゥ!の一人旅のレビュー・感想・評価

パパ/ずれてるゥ!(1971年製作の映画)
4.0
第24回カンヌ国際映画祭グランプリ。
ミロス・フォアマン監督作。

チェコ出身の鬼才ミロス・フォアマンが1968年に起きたソ連によるチェコスロヴァキアへの軍事侵攻をきっかけに米国に移住してから初めて撮った風刺喜劇の佳作で、家出した一人娘を探す夫婦の奔走を描きます。

歌手志望のジーニーは歌のオーディションに参加するため家族に内緒で外出するが、母親のリンと父親のラリーは突然いなくなった娘を心配するあまりNYの街に繰り出し大捜索を開始する…という“現代親子”を題材とした風刺コメディとなっています。

“家出した子を持つ親の会”の会合シーンが鮮烈的にユーモラスで、若い世代の子供の感覚を理解するために親たちが集団でマリファナ喫煙にチャレンジする場面では子に対する親の懸命かつ一方通行な歩み寄りがコミカルに風刺されています。マリファナとお酒でテンションが極限状態まで高まってしまった親たちが自宅でストリップポーカーに興じるシーンも馬鹿げた愉しさに溢れていて、親たちの行動が娘ら子供たちより低次元を行ってしまう光景は親の独善的な正しさとそれに辟易する“まとも”な子の関係性を風刺しています。

現代の親と子の関係を風刺したミロス・フォアマンのハリウッド進出第1作目で、主演のバック・ヘンリーが現代の軟弱な父親像を体現した妙演を披露しています。
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