陰惨で鬼気迫る殺伐とした空気が
劇中を支配するかと思いきや、
久保山局長をはじめ、船員達の
陽気で朗らかな人柄がもたらす
明るいムードは、正直意外だった。
出来るだけ日常を描く事により、
この問題を、平和の中で生きる
我々に身近なものとして捉えて
もらおうとする意図があったの
かも知れない。
アメリカはポーズを取る。
被爆者救済に対し、協力を
約束する。
貴重な“実験データ”として…。
「診るばっかで何にも言わねえだ!」
「まず、すまなかったと謝るべきでねぇか!」
久保山氏の葬儀でスピーチを
する米大使代理に、妻・しずは
冷ややかな視線を向けるのだった。
被爆前の、船上でのサメ解体や、
船内でのリアルな殴り合いの
生々しさが、これから起こる事は
決して絵空事では無いのだと、
覚悟を迫っている様にも見えた。
インタビューを受けた街角女子の
差別発言が何気にすごかった。☆
終盤で大合唱されていた
『原爆を許すまじ』。
我々が学校で歌ったメロディと
少し違うな…。