SANKOU

マイティ・ソーのSANKOUのネタバレレビュー・内容・結末

マイティ・ソー(2011年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

前作『アイアンマン2』から地続きの作品になるのだが、随分とファンタジーな感じで世界観が変わるものだと思った。
が、これはこれで神々の物語とヒーローが融合したとても面白い作品だった。
時に有り余る力は人を傲慢にする(この映画の場合は神だが)。
本当の強さとは誇示するものではない。むしろ力を使わないことの方が強さなのだと思う。
ということでアスガルドの王位継承者であるソーは、未熟さ故に巨人族の住む星ヨトゥンハイムに進撃し、父王の怒りを買って追放されてしまう。
ソーはムジョルニアというパワーの源であるハンマーも奪われ、普通の人間として地球で暮らすことになる。
彼は天文物理学者であるジェーン、ダーシー、セルヴィグ博士と行動を共にするうちに、自分がいかに傲慢であり、ちっぽけな存在であることを痛感し、自身の行いを反省するようになる。
案外すんなりと地球での暮らしに適応していくソーの姿には笑ってしまったが、そこはやはり神ならではの柔軟さか。
前作でトニーの見張りをしていたシールドのフィルは、今回はモブキャラではなくムジョルニアを調査する指揮官として活躍する。
これといって特徴はないのだが、何だか憎めないキャラクターなのが面白い。
一方アスガルドではソーの弟ロキが、実は裏でヨトゥンヘイムと通じており、ソーを追放させたのも彼の思惑であったことが分かる。
昏睡状態になった父オーディンに代わり、一時的に王の座につくロキ。
彼の企みを知ったソーの友人シフ、ヴォルスタッグ、ファンドラル、ホーガンは、ソーを連れ戻すために地球に降り立つ。
それを阻止しようとロキはデストロイヤーを地上に放つ。
シフたちが懸命にデストロイヤーを止めようとするが歯が立たない。
普通の人間になってしまったソーは、自身の命と引き換えに友人と地球の人々を助けてくれるようにロキに懇願する。
この行為が眠り続けるオーディンの心に触れたのだろう、ソーはムジョルニアと共に再び力を取り戻す。
今度はソーは戦いを止めるために力を使おうとする。
ようやくソーは本当の強さを手に入れたのだとも言える。
武力で侵攻し、相手を屈服させることは愚かなことだと誰もが知っている。
現実には絶対に許されることではないと。
この作品も本当の強さとは何かを物語の最後に提示してはいる。
しかし、人はフィクションの中だけではやはり強さと強さがぶつかり合うバトルが見たいのだ。
最初から話し合いで解決するようでは物語が始まらないし。
とてもスリリングで面白い作品だったが、今のご時世ふとそんなことを思ってしまった。
ソーとジェーンがお互いに恋に落ちるのも唐突だが、そんな強引な展開が心地よくもある。
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