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赤い砂漠のmarikabraunのレビュー・感想・評価

赤い砂漠(1964年製作の映画)
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裕福そうな身なりをした子連れの女性が、見知らぬ男性の食べかけのパンを売ってとせがみ貪り食べる冒頭から様子がおかしくて心掴まれる。加速するテクノロジーと、自然を破壊して有害な煙を吐き出す工場都市の無機質さ、温度を失い希薄化する人間社会。現代ではありふれた病例のひとつ。心と体と世界がすっかりばらばらに離れてしまって、その隙間に霧が立ち込めて何も見えない、助けも来ない、なす術もなく立ち尽くすだけ、映画自体がそんな不安そのもののようだった。退屈で分からないと言える人はきっと幸運で、この映画に溶け込めてしまう人ほど生きづらそう。子供部屋の謎ロボットかなり好きです。
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