80年代にアカデミー国際長編映画賞がイカれた選出を繰り返していたことはホセ・ルイス・ガルシ『Volver a empezar』でも述べた通り。本作品は同作と並んで受賞作品の中で日本公開されていないたった二作のうちのもう片方である。私が初めて映画リスト制覇を試みたのが(ありがちだが)アカデミー作品賞で、そこから飛び火してこちらのリストも作成したのが10年前だが、『ファニーとアレクサンデル』を挟んで未公開が並ぶ奇妙さを未だに覚えている。本作品はあからさまにヴィクトール・コルチノイとアナトリー・カルポフのチェス対決を念頭に置いて作られたであろう、東西冷戦のイデオロギー対立をチェス世界に落とし込んだ作品である。