このレビューはネタバレを含みます
今村昌平7本目。
こういうのが観たかった。
1958〜68年の作品から7本観た中では文句無しのベスト。
先月観た『エロ事師〜』の映像表現がとても良かったのでカラー作品も楽しみにしていたけど、期待通りのパワフルな画面を堪能できた。約3時間の長さだけど、もっと浸かっていたいと思った。
琉球をはじめとした既存文化からの引用がどの程度なのかは分からないけど、民族的な部分に陳腐さを感じなかった。その上で「クラゲ島」とか「トリ子」「ウマ」「リュウ・リュウゲン」というふざけたようなネーミングが対照的で面白かった。
中盤の嵐で屋根が吹き飛ぶ辺りから嵐寛寿郎のオバケのシーンの辺りは映像のダイナミズムと喜劇的脚本に心が震えた。
終盤のドンガマ祭りと『悪魔の追跡』的な怖さも見事だった。
沖縄民謡から少しだけズラしたような民謡が繰り返し歌われるが不思議と不快ではなかった。