みんと

青春群像のみんとのネタバレレビュー・内容・結末

青春群像(1953年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

駅員の少年や労働階級者とは対照的な、安定した生活がある程度保障された若者の、夢と逃避と失敗。そして、家族や田舎や地元の仲間などの狭い世界の閉塞感や、どうしようもないしがらみへの嫌気。
このように全てが普遍的な題材だったので、そんなに期待していなかったが中々いい映画だったと感じた。

一見1番まともに見えるモラルドだが、働くことなく、ファウストに注意することもなく、ついには彼の犯罪に加担してしまうというダメっぷりだった。この、登場人物の誰にも共感できないけど、現代にも通ずる人間の排他的な生き方を、美しく描くフェリーニの才能に改めて度肝を抜かれた。全く共感できないし彼らみたいな30代になりたいとは思わないけど、彼らの薄っぺらい生き方に、不思議と孤独や儚さや哀愁を感じた。そして、モラルド目線の少年の後ろ姿を映したラストは、特に素晴らしかった。唯一希望のあるモラルドが、田舎に、仲間に、そして自身の怠惰にようやく嫌気がさして、少年のように一人前になるということなのか。
みんと

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