このレビューはネタバレを含みます
No.3610
『こんな救いようのない映画でも泣いてしまう僕は、やっぱり映画バカですか??』
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売春組織の元締めの"黒カビ"が、生理的に気持ち悪すぎて、あーこりゃダメだ、
いくらトルナトーレでも、モリコーネでも合わないわーって
見進めていたところ、
まさかの、テアがイレーナの実子じゃなかったというとんでもないどんでん返しが起きて、
じゃ、テアとはお別れなんだな・・・切ないな、と思ってたところで、
刑務所からお務めを終えて出てくるイレーナを、
・・・誰かが、迎えに来る。
「あ」と思った瞬間、もう涙腺は決壊していました。
そして、2人を隔てていた時間の流れをゆっくり埋めるように、モリコーネの優しい音楽がエンディングを締めてくれる。
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美しく成長したテアの様子からして、イレーナは最低でも5年以上、下手したら10年くらいはお務めしていたと思いますが、
テアがイレーナの真実を知ったうえで、迎えに来たのか、
知らされていないけれども、父か誰かに言われて迎えに来たのか、
そのどちらかはわからない。
わからないけれども、テアが絶対にイレーナを忘れることのできない特別な感情があったからこそ、ここへ来た。
その「何か」が、あのわずか数秒のラストカットのテアの表情に詰まっているわけです。
これが「時間を感情に変える錬金術師、トルナトーレ・マジック」
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ここで大事なのは、イレーナがテアに単純に優しくしてただけだったら、
ひょっとしたらテアは迎えに来てなかったかもしれない。
でも、イレーナは、転んでも自分で起き上がれるよう、また、自分をいじめる子には立ち向かうよう、厳しくしつけた(縛り付けて何度も転ばすのは見ようによっちゃ虐待ですが・・)。
この厳しさがあったから、テアはイレーナを忘れようにも忘れられなかった。
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ネタバレになるから例は出さないけど、子役が、映画の中盤や後半で、成長した姿でまた出てきて、主役と再会する映画ってよくあるけど、
あの瞬間って、すっごい感情が揺さぶられるのよね。
大体泣いちゃうw
あれこそ、ショットをつなぐだけで、何年でも何十年でも一瞬で時を超えることのできる、映画の醍醐味だよね。