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ヨーロッパの盆栽のレビュー・感想・評価

ヨーロッパ(1991年製作の映画)
4.0
全力で魅せる


 ラース・フォン・トリアー監督による「ヨーロッパ三部作」最終章。セピア調の理解不能映画、現実と虚構がリンクするなんちゃってドキュメンタリー映画ときて今回。三部作の中で最も「映画」に近い完成度であり、映像表現が目まぐるしいほど魅力的。三部作を通して、着々と映画スキルが上達していくフォン・トリアー監督の実力に注目です。

 ストーリーもようやく共感できるものへと変化し、主人公の苦悩や葛藤、幸せの在り方を一本道の線路のように、ブレることなく真っ直ぐ突き進む。そこに時たまカラーパートが観客の脳内に侵入してくる。モノクロが当たり前の世界にカラーが入り込むことで目がバキバキに。本作も観る劇薬なのでご注意を。

 ラース・フォン・トリアー監督にとっての「戦後ってこんなかんじだよね?」を具現化した作品であり、どこかヒッチコック味のあるクラシックで高品質な映画。10秒間の使い方を見直したくなったものです。

2024.4.2 初鑑賞
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