この映画を観る度に、
男のほうがロマンチストだなと思います。
男は過去に生き、女は今を生きるのです。
【夢】と聞くと、
未来をイメージしてしまいます。
けれども、夢を描いたのは過去です。
夢とは、実は過去のことなのです。
現実的とは、今を生きているということです。
現実的とは、今を生きながら
よりよい未来を考えることです。
作家の千田琢哉先生は、「人生に未来は存在しない」「いい人生というのは、過去が美しい記憶で満ち溢れることだ」と言っています。
明里が、岩舟駅で、
貴樹に手紙を〝渡さなかった〟のは、
これまでの貴樹との想い出を
美しい記憶として綴じておきたかったからでは
ないかとボクは思うのです。
最後、貴樹が、踏切で微笑むのは、
時間はかかったが、ようやく、
明里との時間が〝美しい記憶〟として
刻まれたからだと思うのです。
前を向くとは、現在を生きることです。
顔を上げて、前を向き、歩き出した時、
人は、よりよい未来のために
〝現在を生きる〟ことができるのです。
時間はかかっても、人は必ず、
前を向いて歩き出せる。