雄貴AUE

秒速5センチメートルの雄貴AUEのレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
4.0
仕事の疲れのあまり短編でサクッと泣きたくて10年ぶりくらいに鑑賞。

東京と栃木なんて、大人になれば車で日帰りでサクッと行けちゃうような距離を、遠いよなあ、って本気で思うくらい幼い時分の、その時には、本気で世界の全てだと思ってるくらいの相手。そういう関係。
住む場所が離れて、時間が経って、連絡手段はあっても次第に疎遠になってしまって。どこかでは気にかけているし相手もきっとそうだろうとは思いつつ、それも段々薄れていく。
大人になって仕事もしてパートナーも出来て、過去が良い思い出として昇華されていく彼女と、いつまでも心の底は離れられないでいる彼。

そういう『童貞臭さ』や『キモチワルサ』を、これでもかってくらいこねくりまわして、綺麗な風景描写にのせて丁寧に描いてくる、これこそが新海誠作品の真髄と思っています。最近の商業ヒット作品も例外ではないとは思うが、この新海エキスがこれ程ギュッと濃縮されていることと、あくまで大波乱やハッピーエンドなく純文学的なお話になっていることが、この作品の良さであると断言出来る。
まあ同時に(いやそんな言うほど良いか、、?)みたいな感想の人が多い所以でもあろうが。

テーマだけじゃなくてそういうシナリオ、描き方含めて、ちくしょうやっぱり好きだった。16歳で初めて観て泣いて、30歳になってもまだ泣ける自分も相応にキモチワルイなあ、と自覚はしてます。

ちなみに個人的には2話コスモナウトの澄田さんが健気で可愛くて大好きです。あまりにも噛ませ犬すぎて可哀想、今は幸せに生きていて欲しい(誰)。
雄貴AUE

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