Torichock

秒速5センチメートルのTorichockのレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
3.2
「秒速5センチメートル」

"ショック!残酷!残忍!地獄のトラウマ恋愛映画"
その一本にノミネートしてるアニメ映画。

「君の名は」はRADWIMPSが主題歌だから、どうしても腰が重い!そこだけ!
誰か絶対見に行け!と怒鳴ってくれたら、行きます。

本作を初めて見た時、もう二度と見たくない!と決めたくらいに喰らったのですが、「君の名は」を猛プッシュされてるから、改めて見直してみました。

さすがに僕も、いい大人になったわけなので、ショック!残酷!残忍!とまではならなかったので、そこは安心したわけですが、そんなんじゃつまらんので、ここは5、6年前に見た時の記憶を茶化しながら書き、さらに現在の僕から物申すことにします。
これが俺の「フューチャー&パスト」や!

【第1章:桜花抄】

□パスト□
これぞ、地獄の恋の焦らし。
電車遅延、雪、距離、時間、言葉、手紙、そして想い。

誰にでもあったはず。

誰かを想い、誰かに全てを掛け、その先に少しだけ触れることのできた"完璧な瞬間"
その瞬間は、誰にも奪えない。
それは自分の人生の中で光り輝く宝物になっていて、だけど、それが自分をすぐに過去に引きずり戻す、足かせにもなる。
それでも、その瞬間の甘い輝きに、人はいつまでもとらわれ続けていくんでしょう。

■フューチャー■
とかいってるけど、衝動的なアクションにしては、中学生なのに、なかなか行くな!
そりゃ、最高の思い出だろうな!
てか、ちゃんとやることはやったか!?
やってないだろ?遠野、貴様やってないだろ?
お前、やる時はやらないと、この先ずっと引きずるぞ!引きずるぞ!引きずるぞ!
あの子だけは特別だった、、、って、そんな妄念に取り憑かれて、身動きが取れない男になってしまうぞ。

【第2章:コスモナウト】

□パスト□
焦らしの地獄めぐり篇。
打って変わって、遠野に恋する澄田さん視点で進む。
届かないものに手を伸ばそうとする澄田さんの心が、痛いくらい伝わる切なさをはらんだ物語。
だけど、明里に対する想いをずっと胸に秘めた遠野が、澄田さんの心に応えれないし、かといって一人きりでいることができるほど強くはなれない儚さが胸を打つ。

この波に乗れたら...という、澄田さんの想いに焦らしが、地獄めぐりする。

■フューチャー■

クソッタレ!遠野。
こいつ、マジでムカつく野郎だ。
どう考えたって、自分のことを思ってくれてる澄田さんがいるのに、ずっとスカして遠い目をしてやがる。
てかお前さ、そんな想いを抱いてるのがわかるくらい澄田さんはあからさまなのに、何を優しくしてるんだ?
何が"一緒に帰ろう"だ、このクソ野郎め!
好きでいてくれる子と一緒にいるのに、告白もさせないって、まじクズ。
いいか?
誰かを選ぶってことは、誰かを選ばないってことなんだ。
明里をどうしても欲しいなら、鹿児島だろうがなんだろうが関係ないだろ?
明里だけしか見えてないのなら、人に甘えるな!まして、自分のことを明らかに好いてる、優しい女のコに甘えるな!
無為に人を傷つけるような真似はするな、このナイーブ気取りのクソ野郎め!
お前がモテるなんて、絶対許さん!

というわけで、澄田さん。
僕の方がいいですよ、一緒にサーフィンしましょう!

遠野なんで、どうせ東京行っても、結局明里を探すこともしないで、ボーッとうだうだやるだけなんですから。

【第3章:秒速5センチメートル】

□パスト□
もう取り戻すことのできない時間。
でも、確かにあったその時間の残り香だけは、いつまでも心に焼き付いていて、その残り香を追いかけるかのように、思い出と言われる場所に戻ってみること、ないですか?
僕は、ありました。
まだ、その人が好きとかそういうことじゃなくて、その人が好きだった自分が好きだった。だから、そこにはもう何もないのはわかっているけれど、そこにいけば自分の中にある"完璧な瞬間"を取り戻せるような気がして。

いつでも探しているよ

遠野が探しているのは、明里でもあり、あの日の自分でもある。
明里は、思い出を思い出として、思い出にしまっている。

■フューチャー■

ここまでくると、遠野がもはや危険。
中学の最高の思い出に囚われたまま、彼女には捨てられて、仕事まで辞めちゃう始末。
遠野、お前どう考えたってこじらせすぎだろ!!
目の前にいる人を大切にできない人間が、思い出のあの人を幸せにできるか?
答えはNo!だ、この野郎。
僕がもし婚約をしている女だったら、自分のことを思ってウジウジしてる男なんて、恥ずかしくて無理。
昔好きだった人に恥じないような、そんな未来を見よう!とか思えないのか?遠野よ!

てか、そんなに中学生に戻りたいのか?
人生、いろいろ重ねて大人になった方が面白いよ。

というか表題の第3章が、実はほとんど
山崎まさよしの"One more time,One more Chance"のMVとしての評価だったことに気づきました。
なんなら、この曲をずっと流し続けて、こっぱずかしくなるポエムはオミットしてもらっても結構です!


好きな人ごめんなさい!
大人になって観てみたら、全然良さがわからなくなっておったぜ。

てか、僕の「フューチャー&パスト」
フューチャーが汚れたと思うのは自由だけど、汚れた大人と呼ばれようが、汚れる!ってことは、地べた這いつくばって生きてきた証拠なんだ、この野郎。

いつまでも、後ろとか夢とか見てる少年じゃいられないのさ。
Torichock

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