ポルりん

秒速5センチメートルのポルりんのレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
1.9
山崎まさよし「One more time One more chance」をアニメ化したような作品。

あらすじ

小学校の卒業と同時に離ればなれになった、遠野貴樹と篠原明里。
そのとき、二人の間には二人だけの特別な想いが存在していた。
しかし、無情にも時だけが過ぎてゆく……。
そんな日々を重ねたある日、ついに貴樹は明里に会いに行くことを決意。
訪れた約束の日、チラホラと舞う雪がスピードを増し、辺りを白く包んで行った……。


個人的に新海誠の短編映像やオープニングムービーはかなり好きな方だが、長編アニメ映画は嫌いな作品が多い。
その中でも特に嫌いな作品が本作の「秒速5センチメートル」である。

確かに作画のレベルはかなり高く目を見張るものがある。
背景画のリアルティは勿論だが、光と影の使い方は非常に巧みであり、特にレンズフレアの表現は素晴らしいの一言だ。
カットごとの映像の見せ方も素晴らしく、作画の面に関しては褒める所しかない。
恐らく先日鑑賞した「君の名は。」より上だと思う。
だが、他の点に関しては素直に褒める事は出来ない。

まず、ストーリーに関してだが内容が薄すぎる。
上映時間はわずか1時間程度なのだが、内容が薄すぎる為に恐ろしい程時間が長く感じた。
普通に5分くらいの短編アニメにした方が丁度いいと思う。
もしくは本作のPVの出来はかなり良かったので、「One more time One more chance」のMVのみで世に出した方が良かったのではないか・・・。
というより、そのPVを1時間に引き伸ばしたのが本作か。

個人的にすれ違いエンドはかなり好みなのだが、それは主人公などのキャラクターが行動を起こしたり、成長した場合に限る。
本作の主人公の様に、自ら行動を起こさず、小学生から成長をしない状態ですれ違いエンドを見せられても、何一つ空しさも切なさも感じない。
どちらかと言うと、「君の名は。」こそすれ違いエンドの方が良かったと思うのだが・・・。

また本作は、ほとんどキャラクターが心理描写とかだけで、会話もかなり少ない。
別にそういった作品は嫌いではないのだが、本作の場合は別だ。
普通そのような作品の場合、キャラクターの表情や仕草、行動等で視聴者に理解させようとする。
作画が綺麗なら尚更だ。
しかし、本作の場合はキャラクターの心理描写をモノローグばかりで表現している。
OPのモノローグはまだいいのだが、余りにも多用しすぎているので小説を読んでいるのではないかと錯覚してしまう・・・。
映画だったら、モノローグに頼るのではなく、表情や仕草だけでどういう気持ちかが分かるようにして欲しいものだ。
次回作の「星を追う子ども」はモノローグが激減したので良かったが・・・。
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