・ジャンル
オカルトホラー/サスペンス
・あらすじ
舞台はローマ、6月6日の午前6時
名家の御曹司のロバートと妻キャサリンの待望の第一子が産まれたが間も無く死亡してしまう
病院の神父の勧めを受けて妻に秘密で養子を取る事を彼は決める
養子の母は奇しくも彼の子と同時刻に死んだという話を受けての事だった
そして5年後、ロバートは駐英大使に任命され息子ダミアンも元気に育ち一家の生活は前途洋々かに見えた
しかしやがて彼らの周囲では不穏な出来事が相次ぎ始める
その最中、ブレナンという神父がロバートの元に度々現れ俄かには信じられない事を言い残し怪死
それはダミアンは悪魔の子であり、殺さなければ妻はおろかロバート自身も死ぬという物だった
初めは突っぱねていた彼だったがブレナンの予言は少しずつ現実味を帯びていき…
・感想
悪魔を題材としたホラーの名作として「エクソシスト」と双璧を成す超有名作品
過去に一度鑑賞済みだが有名な斬首シーン等、「スクリーム」シリーズでパロディされている可能性を考え改めて
壮大な設定や人智を超えた力で起こる怪死、主人公ロバートの心理描写などをローマやイスラエル等の土地を交えて描いた世界観は良く出来ている
ただ改めて観るとダミアンが母キャサリンに恐怖を抱かせるに至る元凶が決め手となる事件までは弱めで説得力に欠けていたり、怪死の演出もクラシックホラーの匂いを感じるわざとらしさが目立ったりと前半は現代の感覚では不気味さが物足りないというのが否めない
また獣の数字として有名な“666”
本シリーズでは悪魔の手下に痣として現れる物語のキーでもある概念なんだけど皇帝ネロへの批判をする為の暗号という本来の意味を知ってしまっているとそれもまた何とも言えない感じに…
終盤のガラス斬首の様な強烈さのある恐怖演出がより多く詰め込まれていて且つダミアン役の子役の表情がよりおぞましく映されていればこじ付けじみた後半の調査パートも重みが生まれていただろうなぁと個人的には思った
ただ悪魔の子は政界に現れる、という設定は面白いし息子への恐怖から病んでしまう妻など平穏な生活を根幹から揺るがされていく展開は魅力的
ある種、寄生虫の様に周囲を蝕みながらも無垢な表情を見せるダミアンの恐ろしさというのはキリスト教圏の人々にはさぞかし邪悪に見えたであろう事は想像に難くない
獣姦を匂わせるダミアンの出生もタブー中のタブーだろうし
本作を観て改めて思ったのが個人的には悪魔を悪として扱う作品よりも反キリスト教的なメッセージ性を持つ作品の方が好みだという事
1つの教団として過去にしてきた蛮行の数々や現代にも色濃く残る原理主義者達の過激な思想、そういった事を考えるとキリスト教を絶対的正義とする価値観自体にどうしても抵抗を感じてしまう
そしてこれはオカルトホラーあるあるだけど動物に悪を象徴させる描写を見ると自分は正直白ける
自然物に正義も悪もなく人間が勝手に作り上げた概念の記号として扱うのは傲慢に思えるからだ
そんな感じで本作に限らずオカルトホラーに付き纏う違和感というのが宗教色の濃い作品である為に強く感じられてしまった
名作であるのは間違いし後世への影響も計り知れないのは確かなんだけど…
まぁ自分は「エクソシスト」の方が好みかなぁ