「おやすみ、メーン州の王子たち、ニューイングランドの王たち」
たまたま若き日のトビー・マグワイア主演作を連続鑑賞。
ジョン・アービング原作の映画は『ガープの世界』と『ホテル・ニューハンプシャー』は観てましたが、この作品は私が映画と疎遠な時期の公開だったの知りませんでした。
本作はアービング本人の脚本でアカデミー脚色賞を受賞、マイケル・ケインのアカデミー助演男優賞受賞作(『ハンナとその姉妹』に次いで2度目)でもあります。
物語は孤児院兼産婦人科医院(?)のラーチ医師(ケイン)のモノローグで始まります。
主人公のホーマー(マグワイア)はメーン州ニューイングランドの孤児院で生まれ育ち、2度養子に出されるも出戻り、そこに居続けラーチ医師を手伝ううちに医師と同等の技術を身につけるまでになります。
でも彼の夢は孤児院の外の世界で暮らし、医師以外の仕事で人の役に立つことでした・・・
前の『ガープ~』と『ホテル~』はぶっ飛んだ話がさりげなくシュールに語られ、今回も相変わらず風変りなシチュエーションと展開でしたが、前2作に比べるとコミカルな要素は無くなり、しっとりと落ち着いた物語で、私としては3作品の中では本作が一番好み。
冒頭からの美しい映像は、この映画が一級品であることを予感させます。
ドロドロした要素もありながらのサイダーのような清涼感はトビー・マグワイアの無菌人間のような佇まいが大きく貢献しており、まだ頬がぷっくりして可愛らしさと美しさ半々のシャーリーズ・セロンとの濡れ場もキレイでドギツサは皆無。
ベテラン勢のM・ケインと看護士のキャシー・ベイカー(『晩秋』『アデライン、100年目の恋』)とジェーン・アレクサンダー(『センチュリアン』『クレイマー・クレイマー』)のスリーショットにはホッとする不思議な安心感があります。
J・K・シモンズとT・マグワイアは『スパイダーマン』の2年前に既に共演してたんですね。
ケイト・ネリガン(『ドラキュラ』『針の眼』)も懐かしい。
戦地に赴いたセロンの旦那役のポール・ラッドってダレ? どっかで見たようなと思ったら後にマグワイアの後輩スパイダーマンと共演することになる『アントマン』でした。
ラッセ・ハルストレム監督作を観たのは『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』『ギルバート・グレイプ』『砂漠でサーモン・フィッシング』に次いで4本目。
午前10時の映画祭のラインナップに未見の『ショコラ』が入ってるので、せっかくだから劇場で観てみるかな。