かえるのエリー

サイダーハウス・ルールのかえるのエリーのレビュー・感想・評価

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)
4.5
どこで観たか覚えていないが、静かな感動に包まれたことと、ラッセ・ハルストレム監督を認識したのは記憶にあり、ずっとまた観たいと思っていた作品。待てど暮らせど見放題に上がらないので、iTunesで買ってしまった。映画代より安いなら渋る理由もなかったな。

和製英語あるある。スプライトなどのサイダーはsodaであり、このサイダーciderはリンゴジュースのこと。産婦人科兼孤児院で生まれ育ち、外の世界を知らなかったホーマーが、初めて院を出て住み込みで働くのがりんご農園で、季節労働者が寝泊まりする小屋の壁には誰かが書いたルールが貼られている。誰も読めないのに。


以下ネタバレ感想


産婦人科とは独特の空間だ。命を喜ぶ人、欲しい人、いらない人が同じ病院にいるのだから。堕胎が禁じられている時代のホーマーは葛藤する、出産は手伝いたいけど中絶はイヤだと。でも、その後、他人が作ったルールなど読まなくてもいい、と労働者のリーダーが言ったことが、色んな経験を経たホーマーの気づきに上手く繋がっており、こうやって言葉にすると野暮な事を、監督は映像で見事にじんわりと表現してくれるのだ。

サムライミ版のスパイディが一番好きなのは、本作のトビーの影響があるかも。どちらも彼の葛藤と成長の物語だ。シャーリーズ・セロンは、その後の活躍を本作で予想した人がいたら尊敬する。極細眉毛で、言われないと気づかない人も多そう。そんな若い2人をドッシリ支えるマイケル・ケインが文句なく最高に良き。