Eyesworth

8 1/2のEyesworthのレビュー・感想・評価

8 1/2(1963年製作の映画)
4.8
【映画は嘘か?真か?お祭りか?】

1963年公開のフェデリコ・フェリーニ監督の代表作として知られる自伝的作品。

〈あらすじ〉
映画監督のグイド(マルチェロ・マストロヤンニ)はある日、自分の体が空中を落下する夢を見る。現実生活の日常に纏わる様々な精神的・肉体的な疲れを癒す為、彼は療養と称して温泉に出掛けるが、そこでも仕事や生活から逃れることが出来ない。そして彼はついに、自分が温泉で余生を過ごしている老人達の中にいるという幻覚を見はじめるが......。

〈所感〉
『道』『甘い生活』はまだ見ていないが、本作でフェリーニ監督作を初鑑賞。映画というフィクションの世界の中で、どこまでがリアルでどこまで夢なのか、虚実綯い交ぜになって理解困難な迷作にできあがっている。この作品を見て、初めて私が映画に対してある程度のリアリティを求めていることに気付いた。映画とは圧倒的な想像力の産物なのに。その固定観念を打ち壊してれる程に、既存の価値観を全く無視して撮った、騒々しくも重厚で画期的な映画だ。確かに迷作ランキングなら堂々の一位だろう。最後の文字通りの大団円は映画史に残る見事な画だと思う。何か問題が解決した訳でもないのにこのスッキリ感、高揚感はこの作品でしか味わえない。すべての物作りに悩む人、いや、すべての人は何かしらのクリエイターなので、産みの苦悩に直面した時は、是非この映画を温泉宿ででも鑑賞して、「人生はお祭りだ、一緒に過ごそう」と開き直るのはどうだろうか?
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