三月

摩天楼を夢みての三月のネタバレレビュー・内容・結末

摩天楼を夢みて(1992年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

怒涛の後半。
怒り、プライド、喜び、高揚、憎悪、悲哀…まだまだもっと色んなものが役者達の台詞や表情などを通してこちらへ押し寄せてきて、息をするのが大変。
いきなり目の前に若造な指導者が現れて完全にブラックなセールス方針を叫び、ひどい土砂降りの夜にわざわざ心をへし折られに営業に行くなんて、考えただけで胃が痛い。
それでも彼らは電話をかけ、ドアを叩く。その理由や原動力が車やお金のためであり、彼らが「売れさえすればこっちのもの」という下衆なやり口を厭わない種類の男達であることは事実だけれど、何よりセールスマンであることをやめられない性質で、だからこそ生まれるドラマを描けているところがすごい。
ノリは違うけれど、このセールスマンの荒ぶる魂ぶりは最近の作品だとウルフオブウォールストリートにもちょっと通ずるところがある。
アル・パチーノはある種の色気を武器に営業するタイプのセールスマンで、彼の役の適度な軽さと天然人たらしな性質が救いでもあり、また一番深いところに残酷さを生み出してもいる。

ところで私は普段は邦題や訳について割と無頓着な方なんだけれど、この作品については確かにもうちょっとガッチリした邦題が付いて欲しかった気もする。ちゃんと全編観たのかしら…。
三月

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